Magnetic

時間のレイヤー

金 祜廷 / KIM HO JUNG

Media:アプリケーション



この作品は、同一空間上において異なる時間帯のシーンを同時に表現するという作品である。空間を解体して、時間軸をずらして再構成をした。鑑賞者がiPadを実際に持ち、画面をなぞりながら楽しむことができる。なぞられた部分のみ時間が止まり、なぞられた部分の静止時間は画面に触れる時間の10倍で、触れた時間の長さに比例する。人間は時間を止めることができない。しかし、止めることのできない時間をとめる、つまり時間を操つるような体験を提供出来ればと思い、この作品を制作した。
作品では時間の流れ(変化)と停止、そして循環(ループ)を通して時間を表現している。私達は時間の中で暮らしているが、時間というのは、空間のように体験できるものではない。しかし、すべての対象は同じ状態にとどまらずAの状態からBの状態に遷移し、形や性質の変化を起こす。私たちはこのような変化を見て、時間が流れているということを認識する。また、私たちの人生の中での時間は、朝・昼・夜の順で流れる直線的なものであり、また新しい朝に戻る循環を繰り返す、誰もが同じように与えられた時間であるが、その中で感じる時間の長さは人それぞれで、客観的かつ主観的な概念を持っている。作品では、同じ構図で連続的に撮影された複数の写真(レイヤー)の変化を通し、時間の概念を表現している。また、画面上にはモザイクの様に配列されている192個の升の中で時間が順次に流れる。私たちが経験している時間のように無限にループするようになっている。
鑑賞者が作品の時間軸を変えながら、それぞれの記憶や体験を作っていけるように、作品形態をiPadのアプリケーションとした。基本的に時間軸はランダムに再生されるが、鑑賞者がなぞる部分は人それぞれ異るので、自分だけの時間を経験することができる。

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