Magnetic

集積するものⅢ(紙皿)

本木 杏奈 / MOTOKI ANNA

Media:インスタレーション



人は、「モノが集積する」ことに安心を覚えたり依存することがある。収集癖という「モノを集める」行為はゴミ屋敷としての社会問題化や強迫性障害など、病理的な一面を持つ一方、収集することそのものを表現行為として健全に展開するアート作品も存在する。わたしも自身の収集癖を自覚し、一見無価値に思える「モノの集積」は自身にとっての表現行為に位置する可能性を秘めていると考察し、「集積するもの」の研究・制作をはじめた。

集積するものⅢ(紙皿)
紙皿への愛着から一日一皿、日記のように描き始めた。構図や完成イメージを思い浮かべることはなく、下書きもせず欲求に任せて繰り返し曲線を描き出すことで一枚は完成する。描き起こされる文様はプリミティブ(原始的)な印象を持つものが多いが、縄文土器やアステカのカレンダーなど、プリミティブな印象の強い代表的なそれらの曲線の文様やモチーフにはそれぞれに意味がある。一方、紙皿へ描き出す文様に意識的な構成や意図は含まれておらず、シュルレアリスムにおける自動記述(オートマティスム)が最も近い。作者にとって紙皿と向かい合い、文様を描き出すことは自己の意識との対面である。「無意識下にある意識や心理を具体化するための思考の書き取り」の集積が本作である。

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