Magnetic

Generative Pigments

西秦 仁史 / NISHIHATA HITOSHI

Media:インスタレーション



私はメディアアートの領域に転位された伝統的な芸術をもう一度、ものに内在する力へと揺り戻し、物質性を持たせようと試みている。
金地のスクリーンに投影されたドットは実物の粒子に重ねられて実在感を持ち、色は深度を増し、角度によって見え方に違いが生まれる。岩絵具が可塑的に動き出すような、映像が物質に漸近し、固定的な絵画が解体する中間領域の可能性がここから垣間見える。映し出されているのは、仮想の三次元空間に配置された日本画のステレオタイプ的なイメージと、カメラの回転による軌跡である。軌跡が消されると、これらの図像が立体的に立ち現れ、亡霊さながら浮遊する。光が集まって象られた馬や鳥は星座を連想させ、文化を超えた古代の人々の想像力や無意識に共有された記憶について再考を促す。脱領土化的に逃走する運動線が、体系化された形を崩して流れ動き、風化に対抗しようとする絵画とは正反対に、常に自らを更新し続ける。高速にやりとりされるネット上のデータのように自由に接続されること。そして、時に切断されることで回復される秩序。その両方を往還しつつ、先へと進んでいったところに開けるのが「日本画2.0」の地平なのかもしれない。

>>Portfolio site

Email >>lancelot@live.jp