Magnetic

Factory

坂本 睦月 / SAKAMOTO MUTSUKI

Media:キネティック



近年、過度な森林の伐採や漁猟が、様々な環境問題を引き起こしている。樹齢の高い木は高価で売れることから、山の木々は次々に伐採され、露出した山肌は雨水をせき止める役割を果たすことができず、土砂崩れなどを引き起こす要因となっている。そして、木々を住処にしている小動物たちは住処を奪われ、生態系が大きく変化しつつある。また、海洋でも同じように、過度の漁猟により生態系への異変が出ており、絶滅危惧種となっている動物も少なくない。人間の行き過ぎた行為によって、自然界のバランスが大きく崩れ、今や収集がつかなくなっているというのが現状であり、植林や養殖による環境保全の重要度は高まるばかりである。
近い将来、需要過多によって「自然」の物が全て無くなり、誰も気づかないまま「人工」の物に置き換わる日が来るのではないだろうか。さらに言えば、近年の科学技術や医療技術の進歩は凄まじく「ips 細胞」と呼ばれる万能細胞の開発によって、様々な可能性をみることができる。たとえば、事故や癌などで失ってしまった身体の一部を万能細胞によって取り戻すことさえできるのだ。このSFのような話が近い将来可能になるという。
そう考えると、種を蒔いたり、家畜を繁殖させたりして動植物を育てるのではなく、成体の動植物を工場で生産する時代も、いずれ到来するだろう。そして「人工」と「自然」の境が無くなった時、新しい価値観が生まれるのではないだろうか。
このFactoryという作品は、どれも工場での切削・塗装・運搬といった製造行程をイメージしており、各作品で製造している物は、土や木、生物といった、自然物である。

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