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節気事典

時 劼 / SHI JIE

Media:インスタレーション



「節気事典/SEKIpedia」は二十四節気と七十二候の可視化をテーマとするインスタレーション作品で、「節気」を広義な「うつわ」とし、自然事象、人文情報、社会文化などの具象的および抽象的な関係を多視点から再認識、分解、構築することで、時間、空間およびその間に含まれている情報の可視化を探求するものだ。
「二十四節気」とは、古代中国において考案された月の満ち欠けと太陽の運行に基づく季節の区切り方である。二十四節気をさらに三つの「候」に細分し、季節的な特徴を持つ自然事象を言葉で表現したものは「七十二候」と呼ばれる。節気は自然と人文、時間と空間、感性と理性の関係を表し、コミュニケーションができる「うつわ」のようなレセプター(受容器)、巨大な情報量を持つ「メディア」でもあり、また、二十四節気と七十二候は「こよみ」の一種であり、時間の流れを人間が決めた規則により、ある単位に当てはめて数える「システム」である。このような「タイムシステム」は創造者である人間の世界観を表示することだけではなく、参与者である人間の能動性も影響されている。
以上のような思考や世界観を持ちながら、本作品は外部世界(マクロ)から内包精神(ミクロ)まで、宇宙(太陽系、天体出没)、暦法(太陽暦、四季、二十四節気と七十二候)、地球(大気の皮膚である気象、人間の皮膚である織物)、大きく分けられる三つのレイヤーを二次元のインフォグラフィックにまとめる。
それに、世界を「透明化」、「螺旋化」と考え、透明アクリル板の上に直径が一定に減っていく同心円の形で、彫刻されたインフォグラフィックスシリーズをLEDで光らせ、重層的な構造のインスタレーションを作ることで読み手の理解および共感を経て、多視点から鑑賞できる多次元空間の作法を試みた。

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