Magnetic

対話と恊働「この場所、風の息」

青野 優 / AONO YU

Media:本、インスタレーション



本作は大学院修士研究のプロセスの一部として制作した。私の大学院修士研究のテーマは「対話と恊働」である。
この作品のコンセプトは布の向こう側に見える景色を人々が意識し、この場所の魅力に気づくことで、自分たちの公共空間を活性化し始めることがねらいだ。そのためのひとつの方法として、まちにインスタレーションを置くことを作品とする。インスタレーションは多摩美術大学、八王子キャンパスにある池と二号井戸の近くに設置した。この場所には、二本のイチョウの木があり、その二本の木の間に、十五枚の布を連ねて吊り下げた。このインスタレーションを屋外で設営していると、思いがけない人が話しかけてくれ、手伝ってくれた。作品制作の中にも未知の対話と恊働が生まれることを発見した。
ここに書かれているのは、「この場所、風の息」というインスタレーションを置くことで生まれた、楽しい経験と対話である。
景色を布で遮断し隠すことで、人はそこに隠されたものを意識する。布が風になびいたり、手でめくったりして向こう側の景色を見ようとする。意識してから初めて気づく魅力に発見した人々は、その発見を他の誰かと共有しようとする。この共有することが対話の生まれる瞬間になるのである。

Email >>blue.no.999@gmail.com