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mind canvas -看護現場のための業務記述と心象表現のツール-
mind canvas —Communication based Reflection Tool for Hospital Nursing Focusing into Two Layers of Image expression and Task description

 日常の様々な場面で、自分の行ったことを思い返す機会がある。学生であれば部活後の反省会であったり、友人と作品について語る時であったり、講評会であったり、それらは自然に行われているものである。思い返していくと、改善すべき点や上手くいかなかった点が思い当たり、それらを認識することで次回の行いはより質が上がっていく。そのような体験を考察してみると、他者と対話している時にそれらの思い返しが頻繁に行われていることに気づく。私はそこで行われるコミュニケーションに興味を持った。

 私は、学校や美術館など学習の場で起きるコミュニケーションと、それを支えるソフトウェアツールのデザイン研究に参加してきた。それら研究を通して、2012年に人々の学習を促進するうえで重要な役割を担っている「ふり返り」をともなうコミュニケーション活動のプログラムとその活動を支えるツール「reflection lounge」のデザインを考案した。デザインを学ぶ学生たちを対象にしたコミュニケ−ションツールとそれを利用する活動のデザインによって、学生たち各々のデザインに対する価値観の外化と共有が促進された。それは、学生同士が自己の制作した作品について語り合うこと、そこからさらに作品その背後にあるデザイン行為の意味やデザイン分野の特性についてお互いの考えをぶつけ合う活動として生起した。このデザインを通して見いだしたことは、「ふり返り」をともなったコミュニケーションの価値は普遍的であり、学習以外の活動においてもそれを適用し得る可能性である。その気づきをもとに私は大学院に進学した。大学院では、看護現場で実践されている「医美工連携プロジェクト」に参加し、仕事という活動におけるコミュニケーションに適用し得る「ふり返り」の場を模索することを研究のテーマにした。

 私が参加したプロジェクトは、医療分野と工学分野、美術分野が連携する学際プロジェクトで、佐賀大学医学部と産業技術総合研究所、多摩美術大学の3団体が共同で、看護業務を支援する次世代のソフトウェアツールのデザインに取り組むというものである。そこでは新たな学際デザインと共同デザインを展開する方法の模索が行われた。私はこのプロジェクトに参加しながら成果の一部を修士研究に応用し、最終的に看護の仕事で行われる理想のコミュニケーション活動と、それを支える業務記述と心象表現のためのソフトウェアツール「mind canvas」をデザインした。  「mind canvas」は大まかに「心象の層」の機能を持つ「心象表現モード」と「業務の層」の機能を持つ「業務記述モード」の2つのモードで構成されており、この2つをドロワーを使用して自由に切り替えることができる。どちらの画面も、患者のアイコンと円形に表示された患者のスケジュールなどの基本要素からなる「ダッシュボード」が表示されており、モードによってその他の要素が切り替わるようになっている。

  • Name: 新野 佑樹 / Yuki NIINO
  • Countory: Japan
  • Category: Application
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