本研究は、ショッピングにおけるショップスタッフと顧客のやりとりから生まれる購買体験から、両者の「関係性」から生み出される質の高い買い物経験ができることを目的としたアプリケーションの提案を行う。顧客は、商品ではなくショップスタッフとのやりとりから購入を検討し、ショップスタッフは、顧客との個人間のやりとりからより根強いファンになってくれそうな期待のある顧客を増やすことがアプリケーションで行えるような経験をデザインする。研究のテーマを、顧客とショップスタッフから生まれる関係性と購入経験・通販と実店舗の境界に差がなくなる購買のかたちの２つを軸として研究制作を進めた。 ・顧客とショップスタッフの関係 ファッションブランド ( ネットショップ・実店舗) のスタッフと顧客が密接に繋がる「ショップファンメンバー」専用のアプリケーションを提案する。ユーザーは自分の好きなお店をアプリで登録でき、その店の濃いファンに成長していく。顧客とスタッフの関係によって広がる買い物経験を検討する。 ・通販と実店舗の境界に差がなくなる購買のかたち 自分自身の買い物で、インターネットのコミュニケーションから生まれた買い物経験がある。店舗でよく話すスタッフとネット上で繋がったり、またネット上の会話の続きを店舗でするようなことがあった。買い物だけでなく、日々の生活の中でも、インターネットから始まった人との関わりからコミュニケーションの輪が広がっているのを日々感じている。その両者の境界は今や意識しなくなりつつあるのでは ないかという気付きから、どちらが主体になるかはユーザーが自然に選ぶような新しい購買方法をデザインすることも目標に制作した。
